海外駐在は、日本のサラーリマンであればキャリアパスの1つで、特にアメリカやヨーロッパの先進国で海外の経験を積むということは出世に大きくプラスに働くのは間違いないと思います。会社側としても相当分のお金を掛けて駐在者を海外に送っていますし、その投資分の金額を十分に回収できることを見越して能力やポテンシャルの高い人間を送ることから、社内でもエースクラスの人間が海外に送られる傾向にあると思います。したがって、帰国時にはそれ相応のポジンションに昇進し、その海外とのコネクションを最大限生かして仕事をしてほしいというのが大抵の会社のプランかと思います。
海外駐在のメリット・デメリット
海外で仕事することに興味がある人であれば、海外駐在はメリットだらけのおいしい”仕事”だと思います。海外にいって語学で苦労する話とかありますが、たしかに事実かと思いますが、もはや日本もGlobal化が進み、日本にいても、英語ぐらいはできないと今後は社内で立ち回っていくことはむずかしいでしょうし、自分の市場価値も上がらないと思います。
金銭メリット:現地での追加手当(家賃補助)や現地用の給料など追加での金銭面での手当は厚い。
出世メリット:帰国時には、海外とのコネクションを使って更に会社に利益をもたらす人材としてプロモーションが期待される。
語学メリット:当然海外に行けば現地の言語を学ぶ必要がある。英語圏であれば、英語環境下の中で英語に磨きをかけることができる。
一方でデメリットとして挙げられるのは日本を離れることによる物理的な不便さかと思います。
家族の緊急時に日本にすぐに帰れない
日本食や日本の物が恋しくなる。手に入りにくい
駐在を共にする家族の負担、語学のストレス
手当・福利厚生でのメリット
出世メリットとか、語学メリットは想像がつきやすいですが、では具体的に海外駐在員はどの程度の手当て・福利厚生のメリットがあるのか非常に気になるところかと思います。原則としては以下のものをすべて会社が負担します。
- 住宅手当:海外駐在員の住宅は「なにか危険なことがあるとマズイ」という理由から住宅は良いところになります。企業・役職・地域によって変わりますが家賃20万円/月以上は普通でしょう。途上国だとプール&ジム付きのマンションに住めます。
- 車支給:車がないと生活できない地域ではクルマが支給されます。たとえばアジア諸国など危険の多い国では駐在員用にクルマ1台+運転手、駐妻用にクルマ1台+運転手、という駐在者もいるようです。
- 子供の養育費(100~200万円/年/人):小中高インターナショナルスクールの学費(100~200万円/年)。幼稚園、保育園の学費(100~200万円/年)。
- 英会話スクールの費用(50~100万円/年/人):家族と本人の英会話スクール費用を会社が負担します。渡米前、渡米後の両方のケースで英会話スクール費用をサポートする会社も多いです。
- メイドさんの費用(先進国はナシ、途上国のみ):生活がむずかしい国では子育てや掃除をしてくれるメイドさんがつきます(50万円~100万円/年)。たとえばアフリカ、中東、インド、フィリピン、ベトナム、ブラジル、インドネシアなどの途上国では必須な条件のようです。
- 病院代・治療費(基本は全額):アメリカの場合には保険費用は会社が負担で、少額の実費については治療費を負担することがほとんど。発展途上の国の場合には会社が全額負担というのもの多いです。
- 一時帰国費用:年に1度または2年に1度の日本に里帰りのための費用。会社によってはビジネスクラスで家族全員が帰国できるという例も。
- Taxサポート:日本と駐在先の税金については処理しなければなりません。大抵の場合は税関連専門の事務所や会社に依頼することになりますが、その費用等についても会社が負担します。
- ハードシップ手当(50~150万円/年):駐在する国の危険度に応じた手当。たとえばインド、イラン、中国の奥地、ブラジル、トルコなどの途上国やイスラム文化圏に駐在する際に出ます。
どうやったら海外駐在者に選ばれるか?
海外駐在者になりたいと思ったら、積極的に海外に進出している会社に入社し、数年から十年近く国内での経験および結果を出して、なおかつ英語ができるというアピール、例えば海外からのお客さんや訪問者が来た際には積極的にエスコート、英語のプレゼンも自分から手を挙げるなどをすることによって上司や周りにアピールすることによって、はじめて候補になれるものです。会社としてもそれなりの投資になりますので、まずは国内でしっかりと結果を出し、リーダーシップを発揮できる人材だと認識させることが重要です。国内で結果が出せないのに海外で結果が出せる人はまずいないでしょう。
外資系には入るな
私はアメリカに本社を置く外資系会社で、幸運もあり駐在者になり現地採用になりましたが、外資系で駐在に行けることの可能性は高くありません。日本の支社の目的は、日本の市場を開拓するためのものであり、国内にある会社のように、外国に活路を求めるものとは根本的に違います。外資であっても可能性がゼロというわけではありませんが、その門は非常に狭く、また、競争率も高いので、駐在をキャリアプランとして狙うという観点では、国内企業で海外に積極的に進出している会社のほうが可能性が明らかに高いです。
1, 2年の駐在は短すぎる
日系の企業で海外駐在となれば、3年以上が普通かと思いますが、1, 2年程度の短い駐在というのもあります。主にトレーニングや研修等を兼ねたものですが、これは短すぎます。1年では少し慣れてほぼ終わりで、旅行の延長的な感覚かと思います。また、2年でもこれから更に担当プロジェクトを軌道に乗せてというところで帰国で消化不良です。語学的な部分でも2年程度では期待した英語力の向上は見込めないと思います。海外駐在に行くのであれば最低3年は無いと、その国でのプロジェクト、語学、生活にAdaptしきれずに日本に帰ることになると思います。実を言うと、外資系会社の駐在で多いのがこの1, 2年の短期駐在です。
現地採用を狙うなら外資系へ
駐在 vs 現地採用でも話しましたが、現地採用を将来的に考えているようであれば、日系の企業で海外支社の現地採用になるというのはデメリットが大きいです。一方で、外資系の企業で本社に現地採用になるという、非常に狭くて難易度の高いキャリアパスですが、これを狙うなら外資系に行くのが良いと思います。例えば、GoogleやMicrosoftの本社に勤めたいという目標なら、日本の支社に入社後に社内の公募を使っていく機会もありますし、日本支社からの駐在員として派遣されたのち、現地採用に切り替えるという方法もあるでしょう。
海外の本社から日本に送られる海外駐在者
日本の場合には海外駐在者は出世の切符を掴む上でもメリットが高いと言いましたが、それでは、アメリカに本社があり、例えば日本にアメリカから人を送る場合に、この海外駐在者には同じようなメリットがあるのでしょうか?日本にいる外国人はなんとなくですがよい生活を送っている印象がありますよね。。六本木近くに住んで、そして場合によっては車なんて提供されたりして日本人のハイクラス層と同じような生活を送っているイメージがあります。

たしかに、私の会社からも日本に駐在的な扱いで日本に送られる人もいます。そして、先に書いたような生活に対する補助以上のものが提供される場合もあり、やりすぎなのではないかと思うくらいの手当てですが、アメリカから日本に送られる人たちは、エースで日本に送られているというより、どちらかというとアメリカの本社にポジションがなくて、日本に機会を求めに行ったという印象が強いです。
考えてみれば、当たり前です。日本から見ればアメリカは市場規模が大きく、アメリカでの成功はビジネスの成功につながります。一方で、アメリカから見れば日本は市場規模が小さく、優先度は3番、4番程度でしょう。そこでの成功よりも、アメリカ本社での成功した人間が出世に関わるのは間違いありません。語学に関しても、日本の駐在者は英語が学べることにより大きなメリットがありますが、仮にアメリカ人が日本語ができるようになっても大きなメリットを生むことはないでしょう。そもそもあまり勉強はしないと思いますが、、、
大抵の場合は、日本に行くということでプロモーションして日本の組織の中に入りますが、そのプロモーションが致命傷となり、アメリカの本社に戻ろうにもディモーション(降格)しないとポジンションがないというはよく聞く話です。つまり、下手したら片道切符の島流し状態になってしまうのです。アメリカ人は特に家族との時間を大切する国民性で、その家族との時間を割かれ、日本という言葉が通じ難い中でのビジネス、生活の上、アメリカの本社に帰れないなんて、アメリカ人のとっては海外駐在はデメリットのほうが大きいものだと思います。したがって、実際のところは海外赴任に興味があるアメリカ人は少ないです。私のダイレクトレポート(部下)に話を聞いても、海外赴任に興味があるとかキャリアプランとして海外赴任を考えているという人は皆無でした。


